心も体も、寒いなら抱いてやる
これはもともと、昨日の夜に花蓮が出した提案だ。

不安定だったビィが最近元気になったのは、みのりがビィに優しく構って愛情を注いでいるからだ。

田口が戻ってきたら、みのりのマネージャー業は終了する。

大学も始まるし、他のバイトで忙しいみのりが家に来ることはそうそうないだろう。

そしたらビィはまた不安定な猫に戻ってゲロゲロしちゃうに決まっている。

だから、ずっとみのりがうちに来る機会を作った方がいい。

で、ビィのシッターという名目で、バイトを頼んだら一石二鳥ではないだろうか―――――と持ちかけたのだ。

「で、バイト料は誰が払うの?」
「あなたに決まってるでしょう」
「おれからのバイトなんて引き受けるかな」

俊がこの話に乗ってくることを、花蓮は確信していた。

なぜならビィと同じく俊がみのりを必要としていることを、花蓮は俊自身よりも知っていたからだ。


「ビィのためって言えば大丈夫じゃないかしら。みのりはビィが大好きだから」
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