心も体も、寒いなら抱いてやる

「俺らって、結局2人ともいくじなかったのな。もっと早く連絡してればよかったのに」

2人がほっとした笑みを浮かべたのを合図に、「それじゃ次はみのり」と、花蓮が肉をつかんでいたトングではっきりとみのりを指して指名した。

「姉ちゃんもなんか話あるの？」

気が楽になったのか、皿の上に積まれた肉を口に放り込みながら、太一が横のみのりに顔を向けた。

太一とは逆に緊張を増したみのりは「実はさ」と、まず箸を置く。

「実はなに？」

「太一にだまってたけど、少し前から俊くんと毎日会っているの」

肉で頬を膨らませたまま、次の肉をつまみかけた太一の手が止まり、みのりと俊を交互に見る。