心も体も、寒いなら抱いてやる
急に名指しされたみのりは彼の腕の中で不安そうにしているビィを見ながら考える。

が、考えてみても一向に意味がわからない。

「人の友達に失礼なこと言わないでよ。それも呼び捨てで」

怒る花蓮に彼は「だって昔から呼び捨てだし」とふてくされたように言い、犬を抱いたまま立ち上がってベッドのわきに放り出してあったバッグを探り始めた。

昔から呼び捨て? 

みのりの頭のなかはますますこんがらがっていく。

「ねえ花蓮、あの人、花蓮のカレ……だよね?」

「私の彼? みのり、すっとぼけるのもいい加減にしてよ。まさかあいつが誰だかわからないの?」

相変わらず名前の通り可憐なルックスに反して、花蓮のセリフには可憐さが足りない。

あ、ダジャレのようになってしまった。

「すっとぼけているつもりはないけど……わからないよ……」
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