心も体も、寒いなら抱いてやる
「みのりちゃん、マネージャーやめちゃうんだって?」と、マキが右手に持ったままの櫛でみのりの前髪をちょいちょいと、とかしながら聞く。

「最初から田口さんの代理だったので。大学も始まりますし」

「そう……。ねえ、この中途半端に伸びた前髪どうするの? 切るの? 伸ばすの?」

マネージャーを始めたときには眉の上にあった前髪がすっかり伸びている。

「眉上ぱっつん型はいい女しか似合わないそうなので伸ばします」

「ずいぶん自虐的ね。そんなの誰が言ったのよ。もしかして宮古?」

「宮古さんも言いそうですけど違います」

「じゃ、誰?」

みのりはマキの顔をうろんな目で見た。
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