心も体も、寒いなら抱いてやる
そんなデリカシーのない言葉を口にするのはルカしかいないじゃないか。

いや、昔の俊は素直で愛らしい少年だったのだ。

もろもろの出来事から自分を守るためとか、大人になりかかった年齢的な要因だとか、多分会わない間にいろんなものがミックスされて、今の俊が形成されたわけだ、とみのりはルカの変貌した人格について考査する。

「ルカです。会った初日に言われましたから」

「あら~。ルカがそんなにずけずけ言うなんて珍しぃ~」と、みのりの前髪をすいていた櫛を左右に振ってはしゃぐマキに忠告をする。

「マキさん、もうマネージャーの任務終了間近なのでぶっちゃけますけど、ルカってずけずけとしか物言いませんから。けっこうSですから。気を付けてくださいね」

「やだあ、それきっとみのりちゃんにだけよ。もぉ、ずるぃぃ」

会うたびに女子度が上がっていくマキが、恨めしそうな目つきで斜め45度からみのりを睨んだ。
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