心も体も、寒いなら抱いてやる
ホテルは本当に山の中にあり、途中竹林を抜け、舗装されていない細いくねくね道を通り、真っ暗な急坂を上って「本当にホテルなんてあるのかよ」と、夜の山道に苦戦しながら用心深く運転していた俊がぼやいたところで明かりが見えた。

「あった」

本当に暗闇の中にポツンと光る建物は、まるで夜空に光る大きな星のようだった。

それから5分走ってホテルに着いた。

木のデザインが美しい小ぶりのホテルは、山の中の小さな王国のように凛としている。

入り口の前には30代くらいのホテルマンが2人立っていて、「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」と、温かい笑みでみのりと俊を迎えてくれた。
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