心も体も、寒いなら抱いてやる
「俊は小さいのに弱い者いじめが大嫌いでさあ、女子でも男子でも意地悪されている子をみると、すぐ止めに入っちゃうから僕が守ってやらないと」と、やはりまだちびだった太一は威張って言っていた。

それを聞いたみのりは「2人ともちびだけどいい男じゃん」と、感激して目が潤むほどだった。

あるとき高校生数人が公園のベンチにうずくまっていたホームレスのおじさんを囲んで棒でつついたり蹴ったりしていたときにも、俊は迷わず彼らに突進していったという。

さすがに高校生相手じゃ勝ち目はないと思った太一は、近くにいた大人数人を引っ張って行き、危うくぼこぼこにされそうな状況を切り抜けた。

その話を聞いてみのりは「俊君は勇敢なリトル戦士ね」とほめたたえたことを思い起こした。


俊を見かけなくなったのはいつからだったけ―――。

そしてこの変貌はいつからなのだろう―――。
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