心も体も、寒いなら抱いてやる
結局、俊がセットしていった目覚ましのベルが鳴るまでみのりは寝ていた。

枕元には「11時チェックアウト。準備できたら連絡して」というメモが残されていた。

まだぼんやりした頭に浮かんだのは、今度は昨夜のことよりベッドで自分を引き寄せ「もう少し寝ていよう」と言った俊の顔だった。

弟の親友で、
親友の弟。
代替マネージャーとして仕えていた、年下で生意気なモデルのルカ。

そのどの関係とも違うベクトルに気持ちが向きかけている。

まるで誰かから何かのスイッチを押されたように。

そんな気持ちを振り払うように、みのりはベッドから勢いよく床に降り、くじいた足が痛んで声を上げた。
< 194 / 209 >

この作品をシェア

pagetop