心も体も、寒いなら抱いてやる
最終章
4月に入って1週間が過ぎ、足の痛みも消えてきた頃、父と母の離婚問題は突然予想外の結末を迎えた。


その日は、母は入院中で太一は朝からバイトに出かけ、みのりだけが家にいた。

午後3時を過ぎたころに家電が鳴った。

最近家の電話が鳴ることはほとんどないので、何かの勧誘かしらと思いながらみのりは受話器を取った。

「もしもし、こちら大阪府南警察署ですが、ご家族に武さんという方はいらっしゃいますか?」

頭の中で砂がざらりと移動するような、いやな感覚。

「武は父ですが……」

「武さんが大阪市御堂筋の交差点で事故にあわれて―――」

また、ざらり。

「事故? 怪我したんですか? 容態はどうなんでしょう? 病院に運ばれたんですか?」

動転して矢継ぎ早に質問した。けど返ってきた答えはひとつだけ。とても簡単。とても事務的。
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