心も体も、寒いなら抱いてやる
花蓮が階段の上から「このカードで買い物しまくって、それから夜はシャンドンに行って最高級のディナーしてやるから!」と叫んだ。

シャンドンはグルメでもなんでもないみのりでも知っている、フレンチ最高峰の超高級レストランである。

ワインをちょっと飲んだら軽く一人10万はかかるという噂だ。

「それデビットカードだから。せいぜい3万くらいしか残高ないし。それにシャンドンはいつも予約が半年待ちでまず入れない。僕だったら席を空けてもらえるけどね、残念」と、俊が下から言い返す。

「あんた、もう家に帰ってこなくていいから! ビィは私が育てた方がきっと幸せよ。それともまたビィを保護センターに戻しちゃおうかしら」

姉弟喧嘩がどんどんヒートしていく。

その言葉を聞いて最後の階段を降りようとしていた俊は踵を返して階段を駆け上り、花蓮に掴みかかろうとする。

それをあわててスーツ君が押しとどめる。
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