心も体も、寒いなら抱いてやる
「え!どういうこと?」

みのりは「とにかく来てくれ」と花蓮に頼まれ、俊が所属するモデル事務所に花蓮と一緒に出かけた。

応接室に通され、5分ほどして現れた女性は「ごめんなさいね。急に呼び出しちゃって」と、花蓮とみのりの両方にむいて謝り、「こちらがみのりさんね」と、赤い西陣織でできた名刺ケースから名刺を1枚抜いてみのりに渡した。

社長・希沙良アキと書かれている。

この事務所の社長らしい。

30代か40代か。

年齢不詳、いや年齢なんて別にどうでもいいといった彼女独特の美しさを持った女性だった。

薄手のニットに膝丈のタイトスカート。

シンプルな装いがよけいに彼女のスタイルの良さを際立たせている。

魅力的っていうのはこういう人のことを言うのだろうと、みのりは無意識に口を半開きにして見とれた。
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