心も体も、寒いなら抱いてやる
「お父さんには知らせたの?」
「ううん。今のところは必要ないかと思って」
父は3年前から大阪に単身赴任している。
最初は週末には必ず戻ってきたのに、1年後には隔週になり、それが月に1度になって、さらには2カ月に1度戻ってくればいい方だった。
仕事が忙しいのだと思っていた。
だから1カ月前に新宿のスクランブル交差点を呼び止める間もないほど急ぎ足で逆方向に渡って行くで父を見かけたときにも、土曜日だったから、都内で用事を済ませ夜に家に帰ってくるのだろう。
会ったら「何そんなに急いでたの?」と聞いてみようと考えただけだった。
しかしその晩、父は帰ってこなかった。
「ううん。今のところは必要ないかと思って」
父は3年前から大阪に単身赴任している。
最初は週末には必ず戻ってきたのに、1年後には隔週になり、それが月に1度になって、さらには2カ月に1度戻ってくればいい方だった。
仕事が忙しいのだと思っていた。
だから1カ月前に新宿のスクランブル交差点を呼び止める間もないほど急ぎ足で逆方向に渡って行くで父を見かけたときにも、土曜日だったから、都内で用事を済ませ夜に家に帰ってくるのだろう。
会ったら「何そんなに急いでたの?」と聞いてみようと考えただけだった。
しかしその晩、父は帰ってこなかった。