半身!
大事なもの
君を失ってから、一体どれほどの時が流れただろうか。僕の鼓動は鳴り止むことなく、一定のリズムで正常に機能している。君の鼓動が消えたあの日、僕も一緒にいけば良かったと後悔しない日はない。しかし元々僕にはそんな行動力もなく、僕に出来るのは、毎日毎日君を思いながら時間の流れに身を任せることだけだ。もし僕が長針で、君が短針であれば、時間が過ぎれば必ず出会い、重なり合うことができる。だが君と僕が出会うことは、もう、ない。僕は狂ってしまうこともできず、鳴り止むことのない鼓動を恨む。
嗚呼!いっそのこと誰か僕をめちゃめちゃに壊してくれないだろうか!
「…ってさ、言ってるように感じたんだよね~」
「えぇ~、だからって壊しちゃったの?」
「だってお前のが先に壊れたんじゃん」
「そりゃそーだけど…何もトンカチで叩くなんて~」
「まぁまぁ。どーせ片方だけ生き残っても不幸なだけだからさ」
「ん~、まいっか。それより、早く新しいペアウォッチ買いに行こう!」
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