僕と8人の王子



急に抱きつかれた。.........と思ったら今井青だった。


「うわ〜。ひなちゃん、柔らかくていい匂いがする。」

「あの、ちょっと...!」


僕は戸惑いを隠せない。


「あ、ごめんね。驚いちゃった?僕、今井青だよ。青って呼んでね。これからよろしく。ひなちゃん!」

「あ、はい。よろしく。」

「はいはい。青、わかったから離れようか」


今度は神谷翡翠。挨拶している間もずっと僕に抱きついたままだった青を離してくれた。


「ありがとうございます」

「なんで敬語?タメ口でいいじゃん。修みたいなのが2人もいたら気持ち悪いよ。そうだ、僕のことは気安く翡翠って呼んでね」


何故だろう?この人には敬語になってしまう。

この集団の中で一番大人っぽいからかな。顔は竜と同じなのにこの違いは何だろう。


「奏太に続き先程から気持ち悪いとはなんですか!」

「まあまあ、修ちょっと落ち着けって」


次から次へと、あたり1mの人口密度が高すぎる。

すごく優しそうな顔で牧野優也が相原修をなだめている。
やはりニコニコハンサムで間違いなさそうだ。


「どうも、ニコニコハンサムです」


心の声が出てしまったのかと焦る。


「あはは、冗談だよ。......、もしかして図星だった?」

「はい。あ、いえ」


そう言うと、少し困ったように苦笑いを浮かべた。


「俺は牧野優也。優也って呼んでくれ。よろしくな、ひなた」


「まあ挨拶はこんな感じかな」



「ちょっと待て」


永井蓮が口を開いた。


「勝手に終わらせんな。つか、ツンデレってなんだよ。デレた覚えねーよ」


まだ機嫌が悪そうな顔をしてる。






こっちを見ると急に目線が泳ぎだした。





「えっと、俺は永井蓮、適当に呼べよ。日向」


頭を掻いて少し照れた様子でそう言った。


自分では気付いていないようだが、かなりのツンデレを発揮していた。

僕の中での永井蓮に対する好感度が少し上がった。





「はい、じゃあ君達。.......自分の席に座ろうか」



教卓の方を見るともうすでに休み時間は終わっており、先生が呆れた顔で僕たちを見ていた。


< 11 / 44 >

この作品をシェア

pagetop