僕と8人の王子
竜side
俺は神谷竜。
『spinner』ってアイドルグループのメンバーやってる。
なんでやってるかって?
そんなの俺がかっこいいからに決まってんじゃん。
...ていうのは嘘で本当は俺の兄貴が入るって言い出したから。
兄貴ってのは神谷翡翠。
俺と違って優しいし人懐っこいから世話が焼ける。
翡翠のことだから友達に履歴書勝手に送られて受かっちまって、お人好しだから断るに断れなかったんだろうな。
翡翠のことだったらなんでも分かる。
そうだった。
俺は今日から桜庭高校って男子校に入学する。
俺の頭じゃ到底入れないけど、事務所がメンバー全員で同じ学校に入れっつうから優遇してもらった。
学校へは翡翠と登校した。
着いたときにはある人物の噂で溢れていた。
それは、
『入試トップの奴』の噂。
【入試全ての教科で満点だった。】
【スポーツ推薦でも入学できた。】
【10カ国語以上話せる。】
【超お金持ち。】
絶対嘘だ。
「なぁ翡翠、どう思う?絶対嘘だよな」
「うーん、わかんないよ。案外本当かもね」
「いやいやいや。ありえねーだろ」
「まぁ。『新入生代表の挨拶』のときにどんな人か分かるんじゃない?」
(あぁ、そうか!その手があった)
「さっすが俺の兄貴だな!」
そうと決まればじっくり観察してやる。
「続きまして、新入生代表の挨拶です」
どうせ、ガリ勉眼鏡でひょろっひょろの奴が出て来るに決まってる。多分皆んな思ってる。
そんな中出て来たのは...、
少し背が小さいが、遠くからでも分かるくらい整った顔立ち。
その瞬間誰もが思っただろう。
‘‘可愛い!”
「........。新入生代表、倉瀬日向」
倉瀬日向っていうのか。
その後、クラス発表。
『spinner』のメンバーは皆同じクラス。
ふと、‘‘倉瀬日向”という文字が見えた。
同じクラスだ。
1年5組に着いたとき、まだそいつの姿はなかった。
嬉しいことにメンバーと席の位置が凄く近い。
右斜め前には青、前には修、左斜め前には晴斗、左には翡翠、左斜め後には蓮、後には優也、右斜め後には奏太、そして右には倉瀬だった。
晴斗 | 修 | 青
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翡翠 | 俺 |倉瀬
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蓮 | 優也 |奏太
こんな感じ。
蓮はまだ来てない。
どうせ寝坊だろう。
それにしても...、
なんで蓮が窓際の一番後ろなんだよ⁈
そうこうしてる内に先生と倉瀬が入って来た。
遅れて来た倉瀬は少し焦った表情で、その姿に少し可愛いと思ってしまったのは
俺だけの秘密だ。