僕と8人の王子
信じられない。
僕の名前の横に
105号室って!
‘‘9人部屋”って‼︎
嘘だ‼︎
誰か嘘だって言って!
お願いしますよ‼︎
その瞬間、フワフワした気持ちは一変。
抜け殻のようになった僕は
「先生…、部屋って変えてもらったりとか……」
「うわ⁉︎あっははは。倉瀬君、ふふ、面白い顔に、ふふふ、なってますよ」
「え⁉︎」
先生に爆笑されて急に恥ずかしくなった。
「まあまあ、9人部屋だからってそう落ち込まないでください」
先生は笑い過ぎて出た涙を拭きながらそう言った。
(そんな事言われたって)
「105号室は皆が羨ましがるような人選なんですから。安心してください」
(皆が羨ましがるような人選とは?男子って時点で全員嬉しくないと思うんだけど)
とにかく、なってしまったものは仕方ないので部屋に行ってみることにした。
この学校は広すぎるので寮を探すのも一苦労する。
こんなに広くした理由ってなんだろうか。
父さんに会ったら聞いてみよう。
ここは僕の父さんが経営してる学校。
いろんな事業に手を出していて、そのうちの一つが学校経営。
まぁ理事長だから、普段生徒には顔を見せない。
やっと寮に着いた頃にはもう12時前、少しお腹が減ってきたかも。
部屋の鍵は空いていて、もう他の人が来ていたみたいだ。
校内をさまよってしまった。
この学校に来て1つ確信したことがある。
僕は方向音痴なんだろう。
「失礼します。」
ガチャッ
玄関には八足の靴。
もう全員揃ってる。
急がないと、1人だけ置いていかれる。
気持ち小走りでリビングに入った。