僕と8人の王子
「待ってるから。皆は入ってきて」
「翡翠、来ないんですか?」
「うん。僕、ちょっとひなと話したいことあって。時間かかりそうだからさ」
(ええええええ⁇)
「ひなたと…、分かりました。では、皆行きましょうか」
「お、おう」
竜達がぞろぞろと部屋を出て行った後、翡翠が近寄ってきた。
「話したいことって、…何?」
「それなんだけどね。お茶しながら話さない?」
「う、うん。いいよ」
僕の返事を聞いて紅茶を淹れ始めた翡翠。
沈黙の中、緊張感が漂う。
必然的に席に着いた僕の前に紅茶が置かれる。
「いい匂い。ウバかな?」
「そう、よく知ってるね」
普段父は忙しくて家に帰ってこない。
そこで、寝泊まりするための家を海外にも何ヶ所か所有しているのだ。
そのうちの一つがイギリスにあって、僕は小さい頃父に会うため2ヶ月間ほどそこで滞在していた。
といっても、ほぼメイドさんと遊んでいてその一環として紅茶の種類を見分けるというようなことをしていた。
初めの頃は、全然わからなかったけれど、2ヶ月も続けていれば自然と鼻が嗅ぎ分けるようになってしまった。
「まぁ、それより。僕に話したいことって?」
翡翠は深刻な顔をした。
「えーっとね。単刀直入に言うけど…」
「ひなって女の子だよね?」