僕と8人の王子
言葉の意味がわからず首をかしげていると。
「へー、俺らの事知らないやつとかいるんだ。超時代遅れだろ。ってか本当は知ってて知らないフリしてんじゃないの?天然キャラ作ってお姫様みたいにちやほやされたいって思ってるとか?」
「こら、竜!ダメでしょ、そんなこと言っちゃ」
いくら世情に疎いからといって初対面の人にそんなこと言われる筋合いはない。
「黙って聞いてれば好き勝手言いやがって…」
「「え?」」
「時代遅れ、は、まぁ普段テレビ見ないし新聞も経済新聞しか取ってないしスマホも親との連絡にしか使ったことないけど、それでもそんな言い方ないと思う!あと、天然キャラでもお姫様にはなれないと思うんだけど??ていうか大体......」
言いかけて我に返ると、周囲の人は呆気に取られていた。
そりゃそうだ。
自分でも驚いてる。
こんなに声を荒らげたのは初めてだ。
「あっいや。これは…」
「あっはっはっはっは、おもしれー‼︎可愛い顔してるだけのいけすかねぇ奴かと思ってたけど、まじで俺らのこと知らねーんだな。しかも時代遅れってこと自体は認めるんだ。ははっ、気にいった!」
「え?」
「さっきは嫌なこと言って悪かったな。俺の名前は神谷竜。よろしく。ひな」
何だかよくわからない。
貶されたと思ったら笑われて、気にいられた?
「珍しいですね。竜が初めて会った人を気にいるなんて」
眼鏡を掛けた少し冷めた瞳のいかにもなイケメンが話しかけてきた。
「あぁ、あなたは俺たちの事を知らないんでしたね。俺は相原修と言います。よろしくお願いします」
「はぁ、よろしく。で?さっきから言ってる‘‘俺たち”ってなんですか?知ってるのが当たり前なんですか?」
すると、永井蓮、今井青、神谷竜、相原修とその他4人のキラキラした人達が僕の周りに集まって来た。
「わ〜、まじで知らないんだ〜。なんか新鮮!にしてもほんと、可愛い顔してんな。女の子だったら速攻口説いてるね!じゃあ自己紹介するか〜。俺は柿畑奏太」
そう言ったのはこの集団で1番チャラついている奴だった。
「さっきは竜が失礼なこと言ってごめんね。わがまま坊主なんだ。許してやって欲しい」
見た目とは裏腹に、しっかりとした一面もあるようだ。
「それから、その隣に居るのが神谷翡翠。似てるだろ。性格は真逆だけど。兄弟なんだ。翡翠の方が兄貴な」
雰囲気で気づかなかったが、髪型を同じにしたら気付かない程そっくりな双子であった。
「で、その横が富永晴斗。びっくりだろ。俺も初め女かと思ってメアド聞きそうになった。しかも、見た目通り甘い物好き」
実際女の僕よりも可愛く、女の子に向いている。
「修はバカ真面目で俺らにまで敬語だから時々気持ち悪くなるんだけどたまに超腹黒い」
凄くわかる気がした。
「そこのニコニコハンサムは、牧野優也。とにかく優しいんだ。怒ったところは見たことないな」
ニコニコハンサムというパワーワードに負けないオーラを纏っている。
「で、青は髪の毛も頭の中もフワフワしてる。お花畑っぽいよな。あと、縫いぐるみが好き」
要するに不思議ちゃんである。
「最後、入学式初日から寝坊して来た、永井蓮。顔怖いけどいいやつ、でも何かやらかす時はまずこいつが発端。ちょっとツンデレなんだよな」
少し苦手な印象を受けてしまう。
「まあ紹介は大体こんなもんか。そうだ、肝心な事言い忘れてた」
「俺たち、アイドルなんだ」