琥珀の記憶 雨の痛み
――あがり症。

間違いない。

練習では出来ることが、本番では出来ない。


バスケの時もそうだった。

練習では入るシュートが、入らない。

自信がない。

シュートが打てない。

パスが来るのが怖い。

コートに立つのが怖い。


試合に出れなくなった私は、レギュラーメンバーの【良い練習相手】止まりになった。


『莉緒は本当は上手いのに、なんでかなぁ』

ケイは派手な見かけによらず、意外と真面目に練習をするタイプだ。

コートの隅で遊んでいるナツやメグは、練習の5対5にも呼ばれないことをむしろ楽だと喜んでいる。

私たちはちょっと違った。

レギュラーの座が欲しくなかったわけでは、ない。


『Bチームって名称が既に嫌』

スタメンがA、その練習相手がB、それ以外はC。

ナツたちのようにCでいられれば、それはそれで楽しかったんだろうと思う。


『Bの星になってよ、莉緒』


ケイのその期待に、私は応えることが出来なかった。
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