琥珀の記憶 雨の痛み
いつも通りの平日、そしていつも通りの光景。
今日はちょっと混んだね、疲れたねなんて言いながら開けた従業員出入り口前に、既にたむろしている男の子たち。
「おー、やっと出てきた。今日惣菜ねーの?」
「アツシ、そればっか! せめて第一声はお疲れにしてよー」
「あたしらアンタの夜食係じゃないからね!」
この勢いに巻き込まれるようにして、女子の集団がそこに混じって溶ける。
いつも通り……の中にふっと過ぎった違和感の正体は、同じ高校のナツ、メグ、アツシが3人並んだのを見てすぐに分かった。
同じ制服に見えない。
ブレザーを脱いで薄着になったから、それが余計、目立つようになったんだ。
メグは大胆に開襟したシャツの胸元に紺地のストライプ柄ネクタイをぶらさげ、ナツは淡いグレーのカーデによく映える真っ赤なチェックのリボンタイ。
アツシは目に鮮やかなグリーンのTシャツ、前を全開にしたワイシャツは薄手の上着代わりにもならないオマケみたい。
スニーカーから履き替えたばかりのローファーを見下ろして、何故か無性に恥ずかしくなる。
俯きかけたところに、クッと小さな笑いが届いた。
こういう時に限って、鮮明に聞こえる嫌な嗤い。
今日はちょっと混んだね、疲れたねなんて言いながら開けた従業員出入り口前に、既にたむろしている男の子たち。
「おー、やっと出てきた。今日惣菜ねーの?」
「アツシ、そればっか! せめて第一声はお疲れにしてよー」
「あたしらアンタの夜食係じゃないからね!」
この勢いに巻き込まれるようにして、女子の集団がそこに混じって溶ける。
いつも通り……の中にふっと過ぎった違和感の正体は、同じ高校のナツ、メグ、アツシが3人並んだのを見てすぐに分かった。
同じ制服に見えない。
ブレザーを脱いで薄着になったから、それが余計、目立つようになったんだ。
メグは大胆に開襟したシャツの胸元に紺地のストライプ柄ネクタイをぶらさげ、ナツは淡いグレーのカーデによく映える真っ赤なチェックのリボンタイ。
アツシは目に鮮やかなグリーンのTシャツ、前を全開にしたワイシャツは薄手の上着代わりにもならないオマケみたい。
スニーカーから履き替えたばかりのローファーを見下ろして、何故か無性に恥ずかしくなる。
俯きかけたところに、クッと小さな笑いが届いた。
こういう時に限って、鮮明に聞こえる嫌な嗤い。