琥珀の記憶 雨の痛み
「そーだよぉ莉緒! もうちょっと上げた方が絶対可愛いって」

少しオーバーなくらいのテンションで、ナツがそう言った。

私が黙り込んだから空気が悪くなりかけたのを察したのか、それとも本当にそう思っているのかは分からない。


ケイが後ろに立って、ウエストに手をまわしてくる。

「ひと折り、……ふた折りくらい、いっちゃう?」

小悪魔な笑みを浮かべて覗きこまれた。


「いいねぇー! 思い切って3つ行っとこ、莉緒ちゃん!」

「ばっかお前、エロいんだよ発想が!」

ヒュッと小さな口笛を付けて煽って来たアツシを、タケが苦笑まじりに小突いて笑いを誘った。


「……やめとく。ケイみたいに足細かったらいいけどさぁ」

へらりと笑いを浮かべて。

なるべく暗く聞こえないように、冗談っぽく断った、つもりだった。


なのに。


「へえ。ナツやメグの足は太いって言いたいんだ、アンタ」

冷やりとした一声に、一瞬その場が固まった。


何、それ。

そんなこと、思ってないのに。
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