琥珀の記憶 雨の痛み
「ねね、それより莉緒っ」
やけに興奮した様子で、ニヤニヤした亜樹がにじり寄ってくる。
思わず距離を取ろうと反対側へ逃げたけど、壁側に追い詰められただけだった。
「ちょ……なによ?」
「さっき嶋田和哉と何話してたの!?」
……ああ、なんだ、そんなことか。
「嶋田くん、和哉っていうんだっけ」
私が思わず口にした正直な感想は亜樹にとっては的外れな回答だったのか、彼女はがくんと肩を落とした。
「何、亜樹、嶋田くんのこと狙ってるの?」
「ちっがーう! 莉緒、知らないの? アイツ学年問わず、学校中からすっごいモテてんの」
「え、そうなの?」
意外な情報に、私はただきょとんとするだけだ。
地味、というほどでもないけど、嶋田くんはそんなに目立つ方じゃないと思うのに。
学年問わずって……生徒会や運動部の一線とかで目立つ活躍してるヒトとかならまだ分かるけど。
「なあんだ、莉緒は興味なしか。良い感じなのかと思ったのに」
「興味なしって……うん、まあ、そういう目では見たことなかった。っていうか亜樹、まさかそれ聞くために待ってた?」
まあね、と、悪びれもせずに亜樹は胸を張って答えた。
「だって莉緒、全然浮いた話ないから。ついに来たかと思って」
と、まだ嶋田くんのことを突きたそうだ。
て言うか、ついに来たって……。
亜樹は1年の頃に付き合いだした彼と今でも仲良しだし、私はその手の話題には疎いけど、最近彼氏彼女が出来たというクラスメイトが結構いるらしい。
だから余計にそういう話がない私は出遅れて見えるのかもしれないけど……。
「浮いた話かぁ……」
「お、嶋田に興味出てきた!?」
ぐいぐい来る亜樹に、あくまでも相手は嶋田くんなのか、と苦笑が漏れた。
「残念だけど、それはないわ」
「好みじゃない?」
「って言うか……」
学校中からモテてる人とか……。
なんかもう、その情報聞いた時点で――。
ふるりと大きく頭を振ることで、身震いしそうになるのを誤魔化した。
隣を歩く亜樹は、そんな私を見て何かを察したみたいにその話を終わらせてくれた。
やけに興奮した様子で、ニヤニヤした亜樹がにじり寄ってくる。
思わず距離を取ろうと反対側へ逃げたけど、壁側に追い詰められただけだった。
「ちょ……なによ?」
「さっき嶋田和哉と何話してたの!?」
……ああ、なんだ、そんなことか。
「嶋田くん、和哉っていうんだっけ」
私が思わず口にした正直な感想は亜樹にとっては的外れな回答だったのか、彼女はがくんと肩を落とした。
「何、亜樹、嶋田くんのこと狙ってるの?」
「ちっがーう! 莉緒、知らないの? アイツ学年問わず、学校中からすっごいモテてんの」
「え、そうなの?」
意外な情報に、私はただきょとんとするだけだ。
地味、というほどでもないけど、嶋田くんはそんなに目立つ方じゃないと思うのに。
学年問わずって……生徒会や運動部の一線とかで目立つ活躍してるヒトとかならまだ分かるけど。
「なあんだ、莉緒は興味なしか。良い感じなのかと思ったのに」
「興味なしって……うん、まあ、そういう目では見たことなかった。っていうか亜樹、まさかそれ聞くために待ってた?」
まあね、と、悪びれもせずに亜樹は胸を張って答えた。
「だって莉緒、全然浮いた話ないから。ついに来たかと思って」
と、まだ嶋田くんのことを突きたそうだ。
て言うか、ついに来たって……。
亜樹は1年の頃に付き合いだした彼と今でも仲良しだし、私はその手の話題には疎いけど、最近彼氏彼女が出来たというクラスメイトが結構いるらしい。
だから余計にそういう話がない私は出遅れて見えるのかもしれないけど……。
「浮いた話かぁ……」
「お、嶋田に興味出てきた!?」
ぐいぐい来る亜樹に、あくまでも相手は嶋田くんなのか、と苦笑が漏れた。
「残念だけど、それはないわ」
「好みじゃない?」
「って言うか……」
学校中からモテてる人とか……。
なんかもう、その情報聞いた時点で――。
ふるりと大きく頭を振ることで、身震いしそうになるのを誤魔化した。
隣を歩く亜樹は、そんな私を見て何かを察したみたいにその話を終わらせてくれた。