琥珀の記憶 雨の痛み
「なんか、ユウさんって……」
再び訪れかけた沈黙を破るように、ぽつりと彩乃ちゃんが呟いた。
心なしかキラキラしている瞳が、さっきの学校での亜樹の様子と重なって見える。
先を促すように「ん?」とタケが首を傾げると、彼女は嬉々として言い放った。
今このタイミングで、一番放ってもらいたくない爆弾発言を。
「あの人、絶っ対莉緒さんのこと好きですよねっ!」
ぎょっとして固まった。
動揺というよりは驚きで。
それから、タケには聞かれたくなかった話に焦って。
トマトが刺さったままの箸が手から滑り落ちて、器の縁で音を立てた。
「あの人の莉緒さんに対する態度、わざとらしすぎません? 当りが強すぎるっていうか、何ていうか……」
ね? と、同意を求めるようにタケの方を覗きこむ。
それは、ホントにやめて!
「ないないないっ! むしろ嫌われてるでしょ、どう見ても。天敵よ天敵っ」
「またぁ。莉緒さんだって、まんざらじゃないんじゃないですかぁ?」
……んなわけあるかーッ!!
なんなのこの子、天然なのか小悪魔なのか。
これが本当にナツの言うように『タケ狙い』で、イイトコ取りで彼に近付いて、周りの女の子のことはこうやって排除してってるんだとしたら本気で怖い!
ぶんぶんと大袈裟なくらいに首を横に振って全否定する私に、「なんだぁ」と、彩乃ちゃんは残念そうに眉を下げた。
「結構、お似合いだと思ったんですけどねえ?」
……だから、タケには。
彼にだけは、その話題を振らないで欲しいのに。
ユウくんが、私を?
あるワケないのは自分が一番よく分かってる。
けど、外から見るとそう映るんだろうか。
似たようなことを言われた覚えがあった。
タケにも――、そうだ、ナツにもだ。
なんだっけ。
好きだから苛めたくなるとか、なんとか。
小学生か、と突っ込みたくもなったその思考回路を持ってる人が、思いの外多いらしい。
再び訪れかけた沈黙を破るように、ぽつりと彩乃ちゃんが呟いた。
心なしかキラキラしている瞳が、さっきの学校での亜樹の様子と重なって見える。
先を促すように「ん?」とタケが首を傾げると、彼女は嬉々として言い放った。
今このタイミングで、一番放ってもらいたくない爆弾発言を。
「あの人、絶っ対莉緒さんのこと好きですよねっ!」
ぎょっとして固まった。
動揺というよりは驚きで。
それから、タケには聞かれたくなかった話に焦って。
トマトが刺さったままの箸が手から滑り落ちて、器の縁で音を立てた。
「あの人の莉緒さんに対する態度、わざとらしすぎません? 当りが強すぎるっていうか、何ていうか……」
ね? と、同意を求めるようにタケの方を覗きこむ。
それは、ホントにやめて!
「ないないないっ! むしろ嫌われてるでしょ、どう見ても。天敵よ天敵っ」
「またぁ。莉緒さんだって、まんざらじゃないんじゃないですかぁ?」
……んなわけあるかーッ!!
なんなのこの子、天然なのか小悪魔なのか。
これが本当にナツの言うように『タケ狙い』で、イイトコ取りで彼に近付いて、周りの女の子のことはこうやって排除してってるんだとしたら本気で怖い!
ぶんぶんと大袈裟なくらいに首を横に振って全否定する私に、「なんだぁ」と、彩乃ちゃんは残念そうに眉を下げた。
「結構、お似合いだと思ったんですけどねえ?」
……だから、タケには。
彼にだけは、その話題を振らないで欲しいのに。
ユウくんが、私を?
あるワケないのは自分が一番よく分かってる。
けど、外から見るとそう映るんだろうか。
似たようなことを言われた覚えがあった。
タケにも――、そうだ、ナツにもだ。
なんだっけ。
好きだから苛めたくなるとか、なんとか。
小学生か、と突っ込みたくもなったその思考回路を持ってる人が、思いの外多いらしい。