琥珀の記憶 雨の痛み
「結局ユウはよく分かんねーまま。仕事がうまく片付いて、気が乗ったら来るとか来ないとか」


……なんだ、やっぱりまだ分からないのか。
迷惑なヤツ。


でも、事前にサプライズの件を知らせておけばさすがに明確な回答を寄越したんだろうけど、ユウくんのことだからそれを知ったら迷わず不参加を決めただろう。
だからメグも今日まで黙っていたに違いない。


「ユウくんって、前からそうなの?」

「ん? 『そう』って?」

「あー、だから……バイトの後、前はみんなで良くこうやってどこかに遊びに行ってたんでしょ。その頃もあんまり顔出さなかったの?」


私が顔を出せなかったその頃の集まりのことを、私は良く知らない。

でも同中で元々友達だったアツシとタケや私たちとは違う。
部門も違う彼が、いくら同じフロアで年齢が近いからと言って、ずっとそうだったとしたら何で、という疑問があった。


何であんなにグループに溶け込んでて、それどころかドンみたいな顔してふんぞり返ってるんだろう。


いや、そう見えるのは単にユウくんの『態度もガタイもデカい』せいだけなんだろうけど。
それ、誰が言った言葉だったっけ。
実に言い得て妙で、ちょっと笑える。


メグとアツシは、ちょっと考えるみたいに首を傾げながらお互いの顔を見合った。


「あー……別にそんなことないよね? 春くらいまでは、結構来てたかな」

「まー、こんな風に事前に企画なんかしてなかったしなぁ。その日のその場のノリだけど、大抵一緒だったよな」


確認するみたいに頷き合いながらの2人の答えに、なるほど、と思い当たった。

「じゃ、正社員の件で、忙しくなった頃からってことか」


でも、その結論で納得したのは私だけのようだった。


「莉緒ちゃん、それ多分――」
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