琥珀の記憶 雨の痛み
お料理のメニューは軽食の方が豊富で、先に来ていた組が注文してくれていたピザやポテトをシェアしてつまみながら、ドライカレーやパスタ、サラダなどを大皿で追加してみんなで少しずつ分けた。
確かに、お酒メインの店かと思った割に、気軽に食べれる手頃さと美味しさだった。
甘いものも揃ってて、パンケーキやワッフルは、色とりどりのフルーツとアイスが添えられた写真が心を躍らせる。
「やばっ! これ両方食べたい。胃袋と相談しなきゃ」
まだメインも食べ途中なのにデザートメニューに噛り付いていたら笑われた。
「両方食べちゃえ」とアツシは言う、女子の気も知らずに!
「食べたいけど悩むのが女心よ」とメグがすかさず突っ込むと、「愛実はもうちょい肉付けて」で――、アツシのおでこに強烈な一発が入って、笑いを誘った。
その食事会は、終始楽しかった。
メグとアツシという本物のカップルがいるおかげか、必要以上にタケと両隣の2人の仲の良さが目に付くこともなく。
心中も事前に心配していたよりもずっと穏やかで、寛いで楽しんで過ごせた。
大皿が片付く頃に、ふと気が付いたみたいに顔を上げて、タケが言った。
「今日、KaZにしちゃ珍しい選曲が続くね?」
「ほんとだ。言われてみればさっきからちょっとローテンポ?」
常連組が首を傾げてそう言いあうけど、普段を知らない私と彩乃ちゃんの方が頭上にハテナだ。
なんとなく、全員が一斉にDJブースの方へ顔を向けた。
ガラスで仕切られたブースの中で、背中から光を浴びたその『天才DJ』は、口を開けて可笑しそうに笑っていた。
片手をこっちに向けてひらひらと振って見せながら。
危うく私は、口にくわえたままだったストローからグラスの中にトロピカルジュースを逆噴射するところだった。
「――嶋田くんっ」
「へっ? 莉緒、KaZと知り合い!?」
……そうか、嶋田『和哉』だった。
なるほど、『カズ』だわ。
彼は随分前から私がここにいることに気付いてたのか、こっちがやっと気付いたのを確認して、ガラスの向こうで満足そうに肩を震わせていた。
確かに、お酒メインの店かと思った割に、気軽に食べれる手頃さと美味しさだった。
甘いものも揃ってて、パンケーキやワッフルは、色とりどりのフルーツとアイスが添えられた写真が心を躍らせる。
「やばっ! これ両方食べたい。胃袋と相談しなきゃ」
まだメインも食べ途中なのにデザートメニューに噛り付いていたら笑われた。
「両方食べちゃえ」とアツシは言う、女子の気も知らずに!
「食べたいけど悩むのが女心よ」とメグがすかさず突っ込むと、「愛実はもうちょい肉付けて」で――、アツシのおでこに強烈な一発が入って、笑いを誘った。
その食事会は、終始楽しかった。
メグとアツシという本物のカップルがいるおかげか、必要以上にタケと両隣の2人の仲の良さが目に付くこともなく。
心中も事前に心配していたよりもずっと穏やかで、寛いで楽しんで過ごせた。
大皿が片付く頃に、ふと気が付いたみたいに顔を上げて、タケが言った。
「今日、KaZにしちゃ珍しい選曲が続くね?」
「ほんとだ。言われてみればさっきからちょっとローテンポ?」
常連組が首を傾げてそう言いあうけど、普段を知らない私と彩乃ちゃんの方が頭上にハテナだ。
なんとなく、全員が一斉にDJブースの方へ顔を向けた。
ガラスで仕切られたブースの中で、背中から光を浴びたその『天才DJ』は、口を開けて可笑しそうに笑っていた。
片手をこっちに向けてひらひらと振って見せながら。
危うく私は、口にくわえたままだったストローからグラスの中にトロピカルジュースを逆噴射するところだった。
「――嶋田くんっ」
「へっ? 莉緒、KaZと知り合い!?」
……そうか、嶋田『和哉』だった。
なるほど、『カズ』だわ。
彼は随分前から私がここにいることに気付いてたのか、こっちがやっと気付いたのを確認して、ガラスの向こうで満足そうに肩を震わせていた。