琥珀の記憶 雨の痛み
「ウケるぅ! それで部活辞めちゃったの!?」

「あのクソ顧問、それを褒め言葉のつもりで言ってるから救えないよ」

「もったいない。富岡で1年でレギュラー取れるなんて奇跡だよ莉緒」

「太ももで勝ち取ったレギュラーなんて嬉しくない!」

「莉緒は3年間ちゃんと真面目にフットワークしたもんねぇ。うちらはサボってたけど、ねーメグ」

「あんまり気にすんなって。他は細いんだから……ぶふっ」

「あーもう、笑うな!」


中学の時のバスケ部の仲間と、久しぶりにファミレスに集まった。

と言っても現役エリート組は当然休日の日中も練習中で、突然声をかけて揃ったのはナツとメグの2人だけ。

県大会常勝のチームで、交代要員にすらなれなかった私たち。


そうだ、私はこっち側の人間だった。

何を間違って強豪のエリート側に1年もついてしまったか。

おかげで……


「余計太ももが太くなっただけだ」


昼下がりのファミレスに、ナツとメグの笑い声が響き渡る。
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