琥珀の記憶 雨の痛み
「他の奴らは」、と聞かれて、ダーツボードの方を指すとユウくんは「ああ」と納得したように頷いた。
彼にとってもここは馴染みの店なのか、やけに我が物然としている。
松本くんはちょっと所在なさ気に、引っ込むタイミングを窺ってるみたいだった。
登場で思いっきり威嚇されたせいか、ユウくんに対して若干及び腰だ。
せっかく私のために出て来てくれて、しかもそれもただのお使いなのに、なんかすごく可哀相なことをしてしまった。
「あの、あのね。彼も私のクラスメイトで」
と、DJブースを指してユウくんに経緯を説明すると、彼は珍しく興味を持ったような反応を見せた。
「なんだあんた、和の友達か」
「え、あ、はい。いや、うん。え、タメ?」
「違うけど、別に気にすんな」
ユウくんは嶋田くんのことを、『KaZ』ではなく『和』という愛称で呼んだみたいだった。
その微妙なアクセントの違いに、多分松本くんも気が付いてる。
ユウくんと嶋田くん、元々面識があったんだろうか。
分からないけどそれが引き金となって、2人は一気に打ち解けたみたいに話し出した。
……結局、松本くんの方が若干飲まれている感は否めないけど。
2人の立ち話が始まってしまって、なんだか今度はこっちが所在ない。
「あの、私先に、みんなのとこに――」
「あ、ちょっと新田!」
「待て」
2人同時に引き留めるとか……今の今まで2人だけで話し込んでたくせに。
「1人でウロウロすんなってさっき言ったばっかだろ!」
「馬鹿だから、言っても分かんねえんだろ」
小馬鹿にする、どころかはっきりと『馬鹿』と言い切ったユウくんの言葉に、松本くんは遠慮なく吹いた。
何このダブル攻撃!
「あのね……って、ちょ、何してんの!?」
何か言い返そうとした言葉を、私はすぐに塗り替えた。
ユウくんが突然、着ていたシャツを脱いだから。
彼にとってもここは馴染みの店なのか、やけに我が物然としている。
松本くんはちょっと所在なさ気に、引っ込むタイミングを窺ってるみたいだった。
登場で思いっきり威嚇されたせいか、ユウくんに対して若干及び腰だ。
せっかく私のために出て来てくれて、しかもそれもただのお使いなのに、なんかすごく可哀相なことをしてしまった。
「あの、あのね。彼も私のクラスメイトで」
と、DJブースを指してユウくんに経緯を説明すると、彼は珍しく興味を持ったような反応を見せた。
「なんだあんた、和の友達か」
「え、あ、はい。いや、うん。え、タメ?」
「違うけど、別に気にすんな」
ユウくんは嶋田くんのことを、『KaZ』ではなく『和』という愛称で呼んだみたいだった。
その微妙なアクセントの違いに、多分松本くんも気が付いてる。
ユウくんと嶋田くん、元々面識があったんだろうか。
分からないけどそれが引き金となって、2人は一気に打ち解けたみたいに話し出した。
……結局、松本くんの方が若干飲まれている感は否めないけど。
2人の立ち話が始まってしまって、なんだか今度はこっちが所在ない。
「あの、私先に、みんなのとこに――」
「あ、ちょっと新田!」
「待て」
2人同時に引き留めるとか……今の今まで2人だけで話し込んでたくせに。
「1人でウロウロすんなってさっき言ったばっかだろ!」
「馬鹿だから、言っても分かんねえんだろ」
小馬鹿にする、どころかはっきりと『馬鹿』と言い切ったユウくんの言葉に、松本くんは遠慮なく吹いた。
何このダブル攻撃!
「あのね……って、ちょ、何してんの!?」
何か言い返そうとした言葉を、私はすぐに塗り替えた。
ユウくんが突然、着ていたシャツを脱いだから。