琥珀の記憶 雨の痛み
「1人で行くつもりならこれを着ろ」
「や、やだ! あんたの脱ぎたてなんて絶対いや!!」
ていうか、もう早く着て!
人前で突然脱ぎだすとか、ストリップか!
いや別に、さすがに上半身裸になったわけではないけど。
黒一色のタイトなタンクトップ1枚は、やけに艶めかしくて目のやり場に困るから。
バスケはとっくに辞めてるはずなのに、なんでか発達したまんまの綺麗な筋肉と締まった腰が作り出す逆三角形の肉体美が……なんて憎らしい!
「分かったから、待ってるから、さっさと着てよ!」
ちょうどそのタイミングで、まるでからかうような軽快なリズムでスクラッチが数回入った。
うわわ、絶対見てる。
嶋田くんまで、ブースの中からこっち見て楽しんでる。
ユウくんはくつくつと肩を揺らしながら、すぐにシャツを羽織り直した。
初めからからかうつもりだったんだ、ひどい。
「はは! 大丈夫そうだな、俺戻るよ。新田、またな。ええと、あんた――ユウも、また」
松本くんは、手を振りながらブースの方に戻って行った。
「和は気付いたってのにあいつは――」
「……え?」
2人になった途端、ユウくんの声がまた、低い。
『あいつ』が誰を指しているのか、一瞬分からなかった。
「タケは何考えてんだ。なんでお前1人でウロつくことになった」
「え、なんでって……私、ト、トイレ行ってたんだよ? 着いて来れるわけないじゃん」
むしろ、タケがそこまで一緒に行くほうが問題だ。
たまには正論で言い負かしてやる、と鼻息荒くした私に、だけどユウくんは、やっぱり蔑んだような冷たい目で舌打ちした。
「や、やだ! あんたの脱ぎたてなんて絶対いや!!」
ていうか、もう早く着て!
人前で突然脱ぎだすとか、ストリップか!
いや別に、さすがに上半身裸になったわけではないけど。
黒一色のタイトなタンクトップ1枚は、やけに艶めかしくて目のやり場に困るから。
バスケはとっくに辞めてるはずなのに、なんでか発達したまんまの綺麗な筋肉と締まった腰が作り出す逆三角形の肉体美が……なんて憎らしい!
「分かったから、待ってるから、さっさと着てよ!」
ちょうどそのタイミングで、まるでからかうような軽快なリズムでスクラッチが数回入った。
うわわ、絶対見てる。
嶋田くんまで、ブースの中からこっち見て楽しんでる。
ユウくんはくつくつと肩を揺らしながら、すぐにシャツを羽織り直した。
初めからからかうつもりだったんだ、ひどい。
「はは! 大丈夫そうだな、俺戻るよ。新田、またな。ええと、あんた――ユウも、また」
松本くんは、手を振りながらブースの方に戻って行った。
「和は気付いたってのにあいつは――」
「……え?」
2人になった途端、ユウくんの声がまた、低い。
『あいつ』が誰を指しているのか、一瞬分からなかった。
「タケは何考えてんだ。なんでお前1人でウロつくことになった」
「え、なんでって……私、ト、トイレ行ってたんだよ? 着いて来れるわけないじゃん」
むしろ、タケがそこまで一緒に行くほうが問題だ。
たまには正論で言い負かしてやる、と鼻息荒くした私に、だけどユウくんは、やっぱり蔑んだような冷たい目で舌打ちした。