琥珀の記憶 雨の痛み
「あ、うちらもうすぐバイト」

2時を過ぎた頃からちらちらと時計を気にし始めていたナツが、お開きをほのめかした。

久しぶりに会ったのに、それはちょっと寂しいじゃない。


「うちらって……もしかしてメグも?」

「うん、同じとこ。ケイもいるよー」

「え! ケイも誘ったら、今日は1日バイトだって」

ナツとメグは顔を見合わせて、にやっと笑って頷きあう。

「莉緒も部活辞めて暇なら、今新しいバイト募集してるよ?」

「一緒にやろー、莉・緒・ちゃん!」


――バイトなんて、考えてもなかった。

でも私は確かに時間を持て余していて、同中バスケ部の仲間が3人も揃っているというそこに誘われたら当然興味が湧く。

そして。


「……何のバイト?」

「あ、釣れた」

「とりあえず、現場連れてくか」

迂闊に興味を示せば、この2人のコンビネーションが抜群で強引なのは、相変わらずだった。
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