琥珀の記憶 雨の痛み
「莉緒ちゃん、今日は帰る?」


晴れていれば先に外に出て待っている男の子たちも、雨の日は暗黙の了解で時間を合わせてのんびり出てくるみたいで。

ちょうどナツとメグに続いて傘を開こうとしたところで、後から来たタケに声をかけられた。


「うん、途中ちょっとコンビニで時間潰していこうかなー」

バイトが終わる時間を嘘吐いている手前、まっすぐ帰ると早すぎて怪しまれるのが面倒。

下手したら、いつももっと早く帰って来なさいとか言われそうだ。


「タケ、今日はいいよ? この雨で原付じゃないでしょ?」

「莉緒ちゃんこそ、まさか今日もチャリ?」

「ううん、さすがに今日は歩き」


学校にもここまでの大雨だと電車で行く。

1時間に3本くらいしかないローカル線、しかも家から駅も駅から学校も歩くから、通学は基本的に自転車を使うけど。

坂の上にある学校まで、大雨の中傘差して自転車こぐのはかなりキツイんだ。


ちなみにそのローカル線の始点でもあるこのモールがある駅には、ケイが通学に使うもっと主要な路線が通っている。

通勤通学時間帯は5分に1本電車が来るっていうから、えらい違いだ。
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