琥珀の記憶 雨の痛み
「歩きならなおさら送ってくよ。どうせ方向一緒だし、ゆっくり歩こ」
「あ、タケも今日は歩きなんだ?」
「いや、朝はチャリだったんだけど。でも放課後雨酷かったから、学校に置いてバスで来た」
「だったら……」
バスで帰ればいいのに。
私の家の近くにはバス停ないけど、タケの家の方には通っているはずだ。
わざわざ私に付き合って長く歩いて雨に濡れることないのに。
「そこは男心を察してやってよ莉緒ちゃん!」
「わっ! アツシ……」
中々外に出ようとしない私たちの後ろで足止めを食らわせてしまっていたアツシが、間に飛び込んできてタケと私の肩へ手をまわした。
「お、男心って」
「もう付き合っちまえばいいじゃん!」
からかうようにそう言うアツシの手を面倒くさそうに払いながら、タケは彼の頭を小突いた。
「いじめんなよ、莉緒ちゃん困るだろ」
……否定は、しないんだ。
ちょっとだけ赤らんだ顔を隠す。
こういう時、反応に困る。
ちらりとタケの方を窺うと、『気にしないで』とでも言うようなアイコンタクトが返ってきた。
「人のことより、お前はどうなんだよ」
多分、話を逸らすためなのだろうけど。
ニヤリと口角を上げてタケがアツシに放ったその言葉は、やけに意味深に響く。
「あ、タケも今日は歩きなんだ?」
「いや、朝はチャリだったんだけど。でも放課後雨酷かったから、学校に置いてバスで来た」
「だったら……」
バスで帰ればいいのに。
私の家の近くにはバス停ないけど、タケの家の方には通っているはずだ。
わざわざ私に付き合って長く歩いて雨に濡れることないのに。
「そこは男心を察してやってよ莉緒ちゃん!」
「わっ! アツシ……」
中々外に出ようとしない私たちの後ろで足止めを食らわせてしまっていたアツシが、間に飛び込んできてタケと私の肩へ手をまわした。
「お、男心って」
「もう付き合っちまえばいいじゃん!」
からかうようにそう言うアツシの手を面倒くさそうに払いながら、タケは彼の頭を小突いた。
「いじめんなよ、莉緒ちゃん困るだろ」
……否定は、しないんだ。
ちょっとだけ赤らんだ顔を隠す。
こういう時、反応に困る。
ちらりとタケの方を窺うと、『気にしないで』とでも言うようなアイコンタクトが返ってきた。
「人のことより、お前はどうなんだよ」
多分、話を逸らすためなのだろうけど。
ニヤリと口角を上げてタケがアツシに放ったその言葉は、やけに意味深に響く。