臆病者の鬼遊び
「何の用だ」
切り出すと、七海子は露骨に恐縮していた。
ぎくしゃくしながら正座をすると、
「……あの、さっきは……ありがとうございました」
土下座じみた頭の下げ方をした。
「別に、いい……」
ぶっきらぼうに答えたが、七海子は頭を上げなかった。
「頭を上げろ」
憮然となって言うと、ようやく七海子はゆっくりと起き上がった。
こいつ、そこまで言わなきゃ分からないのか、と思う。
七海子は、目線を下に落としていた。
じっと耐えるように、俯いている。
「……俺が、怖いか」
尋ねると、彼女はぎくりと動揺した。
ここまではっきりしていると、いっそ清々しい。