臆病者の鬼遊び
「俺の事が、嫌いか……」
「そっ、そんな事は……!」
「じゃあ何で、同い年の俺に敬語を使う」
指摘された七海子は、困ったように首を傾げ、
「えっと、……本家の偉いひと、だから……?」
「はあ……?」
倫太郎は奇妙な声を出した。
だが、七海子が大真面目に頷くので、笑った。
「くだらないっ……くくっ! そんな理由でか!」
「そんなに笑わなくても……!」
「ぎゃはははははっ」
倫太郎は笑いが治まると、七海子に新しい命令を下した。
「……今後一切、俺に敬語なんか使うな。
いちいち、耳障りだ」
「す、すいません……」
「ほらまた!」
「うわあ、ごめんなさいっ!」