臆病者の鬼遊び
「まあね。
でも、就活で数学出るって、従姉のお姉さんが言ってたよ~」
「やだー、考えたくない」
「でもさ、今回は教えて貰えばいいんじゃないの?
君の従兄君に……彼、勉強出来るでしょう?」
まっちが、小突いてきた。
「もう、やめてよぅ……」
七海子は笑った。
しかし、今日もこの時間がやってきてしまった……と、溜め息を吐いた。
七海子はいつも、歩くのが遅いことを計算して、早めに家を出る。
しかし、何故か倫太郎は必ず、七海子より先に学校に行ってしまうので、
花代さんの作ったお弁当を、ずっと七海子が渡す羽目になっている。
初めの頃より、あまり緊張はしなくなった。
だが、何やらここ数日、七海子は男の子達からからかわれるようになっていた。
大きな理由は、倫太郎が七海子以外と、まともに会話しようとしないからだった。