臆病者の鬼遊び



「ここは、駄目だよ……!」
 

七海子が連れて来られたのは、図書室だった。


カウンターの隣の、奥まった誰も来ないスペース……。

「図書館は、飲食禁止だってば」


「見付からなきゃ大丈夫だろ。

一回や二回で、ごちゃごちゃ言うな」
 

倫太郎は、慣れた様子で奥の本棚まで進んで行った。


七海子は彼が、一回や二回どころか、七回や八回くらいは、ここで昼食をとっているのではないだろうかと考えた。


本当はすぐさま教室に戻り、誤解を解いてきたい。


でも、何だか逃げられない雰囲気なのも確かだった。

仕方なく、付き合う。


(困ったなぁ……)


< 117 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop