臆病者の鬼遊び
「ここは、駄目だよ……!」
七海子が連れて来られたのは、図書室だった。
カウンターの隣の、奥まった誰も来ないスペース……。
「図書館は、飲食禁止だってば」
「見付からなきゃ大丈夫だろ。
一回や二回で、ごちゃごちゃ言うな」
倫太郎は、慣れた様子で奥の本棚まで進んで行った。
七海子は彼が、一回や二回どころか、七回や八回くらいは、ここで昼食をとっているのではないだろうかと考えた。
本当はすぐさま教室に戻り、誤解を解いてきたい。
でも、何だか逃げられない雰囲気なのも確かだった。
仕方なく、付き合う。
(困ったなぁ……)