臆病者の鬼遊び
七海子は諦め半分に、偶然持ってきていた自分の分の弁当を広げた。
今日は、倫太郎の弁当がやけに大きいと思っていたら、いつもの包みを洗ってしまったので、
大きめの包みで二一の弁当箱を一緒に包んだ、という走り書きが出てきた。
こういう大事な事は、朝にもきちんと言って欲しい……。
(司書さんにばれたら……怒られる……
図書委員にも、クビとかあるのかな……?)
床にぺたりと座り、それぞれ食べ始めた。
(差し向かいで食事すんのきついな……)
いつもは、間に花代さんがいる。
だから、二人きり、というのはどうにも慣れない、奇妙な状況のように感じた。
ここには、テレビも新聞も無い。
携帯電話も置いて来てしまった。
しかも、倫太郎はひたすらに無言である。
……間が持たない。