臆病者の鬼遊び
「でも、……何だか、申し訳なくて」
「申し訳ないだぁ? 誰に対してだよ」
倫太郎が、エビしゅうまいをむぐむぐとやりながら言った。
「……倫太郎君に、決まってるじゃん」
「俺?」
倫太郎の声が、裏返った。
そんなに、驚くような事だろうか、と七海子は不思議に思った。
「だって、嫌じゃないの? ああいうふうに大勢から、からかわれたり……
私は、あんまり自分からは言い出せないかもしれないけど、……でもああいうのって、
凄く嫌いだし、倫太郎君だって迷惑でしょう?」
すると、倫太郎はさらりととんでもない事を言った。
「――本家では、あんなもんじゃなかった。
クラスの連中の嘲りなんて、可愛いもんだ」