臆病者の鬼遊び
『鬼』と『鬼』である少年の関係
ぎょっとした。
そして、七海子は倫太郎の事を、なにも知らない事に気付いた。
そういえば、倫太郎の過去を、花代さんもすぐには話したがらなかった。
倫太郎は、気まぐれを起こしたのか、七海子の驚いた顔がもっと見たかったのか、ゆっくりと話し始めた。
「……俺は、『鬼』に喰われたんだよ」
「それは、どう言う事……?」
「話は、大昔まで遡る」
昔、木崎家の先祖は『鬼』を調伏する事に成功した。
当時は、今よりももっと、人の世界は妖怪や死といったものに近い場所にあった。
木崎家はある日、鬼をたくさん捕えて拘束して、弱らせた。
捕えられた鬼達はやがて飢えて、共食いを始めた。