臆病者の鬼遊び



鬼が、何も食べないでいられるのは、百年……。


「……他の鬼はどうだか知らないけど、その鬼はそうだった。

だから、木崎家は百年に一度、子供を鬼に喰わせるんだ……」


あまりの告白に、七海子は愕然となった。

だけど、まだ分からない。


その鬼が、倫太郎とどういった関係があるのか……。


「俺は、……鬼に食べさせるために、支度された子供だった……」


だけど、鬼が望んだのは、いつの時代も本家の直系の女の子だった。

女の子でなければ、いけないはずだった。


しかし、現当主は女の子を授からなかった。


そのせいで、次男の幼い倫太郎は子供の頃、ずっと女の子として育てられていた。


鬼は老いていた。


木崎家の老人達は、もしかしたら鬼が倫太郎に気付かないかもしれないという見立てと、希望を抱いていた。


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