臆病者の鬼遊び
「――実際、そんなこと上手くいくはずも無くて、鬼は俺にひどい拒絶反応を示した」
鬼は老いていた。
それは、確かに真実だった。
そして、倫太郎は他の誰も気付かなかったが、『鬼』調伏の血を強く受け継いだ子供だった。
だが、所詮子供は子供……。
倫太郎は、抵抗も虚しく、丸飲みにされてしまった。
でも、ここで、誰にも予想できなかった事が起きた。
「鬼に喰われた後、……俺は、その鬼の体を乗っ取ったんだ」
七海子は、一寸法師を連想した。
でも、続きの話で、そんな考えは甘いことを知る。
「もちろん、……この鬼の体を支配するのは、並の苦しみじゃなかった。
時間もかかったし、体の痛みに何度も気が狂うかと思った。
……何年も精神が安定しなくて、暴れまくって……
暴走の度に、物や人を傷付けることになってしまって、
最終的に俺は、呪符がたくさん貼られた座敷牢で生活することになったよ」