臆病者の鬼遊び
 




七海子は、すこしずつ、事件と倫太郎に歩み寄ってみる事にした。
 

新聞や雑誌の切り抜きを、とにかく集めた。
 

ネットからも、出来るだけ信頼性の高そうな生地を印刷して、スクラップにしていく。
 

テスト期間だろうが何だろうが、元々あまり勉強をしていない。


直前に教科書やノートをおさらいするだけで、そこそこの成績を維持してきた七海子にとって、この時間は痛くも痒くもなかった。
 


土曜日の午前中に、七海子は風通しのいい縁側にビニールファイルと大量の紙を広げると、一生懸命ハサミを走らせた。
 


ふと、庭で何かが動いた。
 

視線を上げると、そこにはご近所さんの飼い猫、通称・半ノラのタビちゃんがいた。


「ヤ~ォ……」
 

妙に甲高い声で鳴く。


「あ、タビちゃん」


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