臆病者の鬼遊び
やがて、倫太郎が舌打ちをして、七海子を解放した。
七海子が、茫然としたまま、どさりと椅子に落ちた。
教室に沈黙が訪れる。
「えっとな、木崎の席は空いてるそこの、一番後ろの……」
担任が指を指したが、そんなものを見向きもせず、
「――気分が悪い。保健室に行ってくる」
と、倫太郎は出て行ってしまった。
数秒遅れて、七海子がゲホッと咳をした。
「な、何よあいつ……!」
まっちの言葉が合図となり、教室は再びわっと騒がしくなった。