臆病者の鬼遊び
血をすっかり拭き取ると、丁寧に絆創膏を巻いてくれた。
手の怪我とは厄介なもので、なかなか上手く自分では絆創膏が巻けないので、これには助かった。
ちなみに、彼女はずっと目を瞑っていたが、手当てが終わると七海子は意を決したように、
「ありがとう……」
「別に、大した事じゃない」
ほんの、罪滅ぼしのつもりだった。
倫太郎は澄ました顔で、脱脂綿を捨てた。
すると七海子は言いにくそうに、
「……あとね……」
「何だよ」
「いい加減、……何か羽織って欲しいなって……」
目を開けた七海子は、頬を赤らめて目を逸らしていた。
倫太郎は、そういえば自分はずっと半裸のままだったかと気付いて、肩をすくめた。