臆病者の鬼遊び
「すぐ帰ってくるよね?」
「あー……」
花代さんは、変な声を出して、何やら考え込むように拳を口元に当てたり、指折り何かを数えてから、
「そうね……一週間……いや、四日くらいあれば帰ってこられるかな、と思うんだけど」
「四日! どうしてそんなにかかるの?」
七海子は驚愕した。
日帰りが利かない用事とは、一体どんなものなのだろう。
「うーん、あそこはあそこで忙しいからねぇ……いかに私といえど、
簡単に向こうのスケジュールに私との面会をねじ込まえられるとは思えないのよね」
「電話とか、メールじゃ駄目なの?」
「駄目なの。
どうしても一発殴りたいから」
「え?」
「冗談よ」
ふふふ、と笑いながらつまみ食いをする花代さんだったが、
それでも明日には確実に彼女がいなくなる事に変わりは無い。