臆病者の鬼遊び
抹消された家
「――茶番はもう終わりにしないか」
突然の来訪者がそう告げた。
夏期講習の終わった日のことだった。
いよいよ明日から念願の、夏休み本番。
七海子は、そう思っていた。
この日、花代さんはしばらく休んでいたブティックでの仕事が立て込み、留守にしていた。
そして倫太郎もまた、受講態度の悪さ等で職員室に呼び出され、教師たちからお叱りを受けていたのだった。
家に、一人。
昼頃に帰宅し、何をするでもないが、すこし解放された気持ちだった。
七海子は、制服を脱ぎ、キャミソール一枚に短パンという出で立ちで、風通しの良い縁側でく
つろいでいた。
突然インターホンが鳴った。