臆病者の鬼遊び
 


だが、すぐにころりと表情も顔色も変え、「驚かせてごめん!」と笑った。


「ううん、まっち」


「なあに?」


「さっき、助けてくれてありがとね」


「え? やだなあ、あんなの助けたうちに入らないって! 

さ、何か買いに行こ」


「あ、私今日、お弁当ある」


「じゃ、飲み物買いなよ」


 
まっちは、大戦争を繰り広げている購買部に、ずんずん突入していき、


七海子はそのたくましい姿を、すこし離れた場所にある自販機の辺りから見ていた。


さっきの悔しそうに震えるまっちとは、全然違う姿。


けれども格好良いまっちは、七海子に訳の分からない強さを、分けてくれたようだった。


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