臆病者の鬼遊び
座った途端に、数人から、
「なに、今の」
「お弁当?」
「七海子、あいつの舎弟にでもされたの?」
「弱味でも握られてるとか?」
と、キラキラした瞳で尋ねられまくってしまった。
「んっとね……」
緊張して、けれどもなにかの勢いに押されるように、七海子は答えた。
「今、一緒に住んでるから。
お弁当は、花代さんに作って貰ったやつ……」
花代さん、というのが七海子の母親ではなく、一緒に暮らしている叔母さんなのだという事は、
クラス中が知っていたので、別段驚かなかったが、
七海子の家に倫太郎が転がり込んできた事実には、皆悲鳴を上げた。