臆病者の鬼遊び
転校生
教室は、うるさかった。
しかし、先生の次に入ってきた『もう一人』を見た瞬間、教室はしんと静まり返った。
「おはよーう、みんなー!」
Tシャツにハーフパンツという出で立ちの、体育会系でなおかつ、むさくるしい系の担任の先生が言った。
続けざまに担任は黒板に、大きな字で名前を書く。
「お前達に、新しいお友達を紹介する!
転校生の、木崎倫太郎君だ!」
もう一人――倫太郎の姿を見た生徒達は、言葉を失った。
すこし髪の長い倫太郎はすらりと背が高く、とても白い肌の青年だった。
そして何より……彼は、美人だった。
男子は、
『女? あれ女だろ?』
『ばっかやろ、良く見ろズボン穿いてるよ』
『まじかよ~!』
とアイコンタクトで会話をし、
女子は女子で、『王子様!』と瞳を輝かせていた。