黒太子エドワード~一途な想い
「へ、陛下! シャルル様が……アランソン公シャルル様が……!」
その時、フィリップ六世に一人の男が近寄り、青い顔でそう告げた。
彼の口にした名は、フィリップ六世の弟、アランソン公シャルル・ド・ヴァロワの名だった。
「何! あやつまで討たれたのか!」
「はい……。馬で突撃をかけられたところ、そこに他の者が倒れこみ、総崩れとなられて、今や虫の息で……」
「どこだ! あやつはどこにおる!」
そう叫ぶと、フィリップ六世は青い顔のまま、下士官の案内する方向に向かった。
その先には、泥だらけ、血だらけの見るも無残な男の姿があった。着ている物が立派でなければ、王族の血を引いている者だとは分からなかったかもしれない。
「何たることだ! シャルル、しっかりせい、シャルル!」
フィリップ六世がそう言い、傷だらけの白髪の男が、汚れた手を彼の方にゆっくり伸ばした時だった。
ヒュン!
飛んできた矢が、フィリップ六世の右腕に刺さったのは。
「陛下!」
思わず近くに居た者がそう叫び、彼をもっと後方に連れて行くと、彼は青い顔のまま「大事ない」と言って、矢を抜こうとした。
「お待ちを! すぐに医者を連れて参りますので、抜くのは少しお待ち下さい!」
近くにいた男がそう叫んで駆けて行くと、フィリップ六世は小さく「うむ」と言いながら、矢の刺さっている腕を見た。
確かに少しだけ痛みはあったが、王族らしいいでたちをする為、厚手のビロードマンとを着ており、その上から刺さっているので、幸い深手にはなっていなかった。
「地獄絵図だな……」
あちこちから悲鳴も聞こえ、遺体等が続々と運ばれてくるのを見ながら、フィリップ六世はそう呟いた。
「勝てると思うておったのに、考えが甘すぎたか……」
彼が顔をしかめながらそう呟いた時、先程医者を呼びに行った男が戻って来て、彼をもっと後方に連れて行き、そこで矢を抜いたのだった。
その時、フィリップ六世に一人の男が近寄り、青い顔でそう告げた。
彼の口にした名は、フィリップ六世の弟、アランソン公シャルル・ド・ヴァロワの名だった。
「何! あやつまで討たれたのか!」
「はい……。馬で突撃をかけられたところ、そこに他の者が倒れこみ、総崩れとなられて、今や虫の息で……」
「どこだ! あやつはどこにおる!」
そう叫ぶと、フィリップ六世は青い顔のまま、下士官の案内する方向に向かった。
その先には、泥だらけ、血だらけの見るも無残な男の姿があった。着ている物が立派でなければ、王族の血を引いている者だとは分からなかったかもしれない。
「何たることだ! シャルル、しっかりせい、シャルル!」
フィリップ六世がそう言い、傷だらけの白髪の男が、汚れた手を彼の方にゆっくり伸ばした時だった。
ヒュン!
飛んできた矢が、フィリップ六世の右腕に刺さったのは。
「陛下!」
思わず近くに居た者がそう叫び、彼をもっと後方に連れて行くと、彼は青い顔のまま「大事ない」と言って、矢を抜こうとした。
「お待ちを! すぐに医者を連れて参りますので、抜くのは少しお待ち下さい!」
近くにいた男がそう叫んで駆けて行くと、フィリップ六世は小さく「うむ」と言いながら、矢の刺さっている腕を見た。
確かに少しだけ痛みはあったが、王族らしいいでたちをする為、厚手のビロードマンとを着ており、その上から刺さっているので、幸い深手にはなっていなかった。
「地獄絵図だな……」
あちこちから悲鳴も聞こえ、遺体等が続々と運ばれてくるのを見ながら、フィリップ六世はそう呟いた。
「勝てると思うておったのに、考えが甘すぎたか……」
彼が顔をしかめながらそう呟いた時、先程医者を呼びに行った男が戻って来て、彼をもっと後方に連れて行き、そこで矢を抜いたのだった。