黒太子エドワード~一途な想い
一方、シャルル・ド・ブロワも、ジャン・ド・モンフォール釈放とヴァンヌ陥落の知らせを聞くと、行動を起こしていた。
ブレストとヴァンヌの連絡を断つ為に、カンベールという都市を包囲したのである。
位置的には、どの都市も海岸沿いにあるが、一番イングランドに近いのがブレスト、次にカンベールで、その後、大都市ヴァンヌ、少し内陸にあるナントと続いていた。
どの都市も海洋性気候で、温暖で雨の多い冬に、涼しくて湿気の多い夏が特徴であった。
又、そのせいで、一年中湿度が高く、ぬかるみも多い土地でもあった。
時々その名が出てくるブレストもそういう都市であったが、三世紀~四世紀にかけてローマ人が城壁を築き、中世にブルターニュ公国領になっていた。
後に、フランス最大の軍港となり、カナダやインドへの移民の基地ともなるのだが、それはもっと後のことである。
──話をシャルル・ド・ブロワのことに戻そう。
彼は、二ヶ月後の一三四四年五月に包囲していたカンベールを陥落させるのだが、その時、怒りが爆発したのか、一四〇〇~二〇〇〇人の住民を虐殺している。
そして、守備兵のうち、イングランド兵は身代金の為に捕虜とされたが、ブルターニュとノルマンディーの兵はパリに送られ、反逆者として処刑されたのだった。
「あなた、いくら何でも、やりすぎなのではありませんか?」
ジャンヌ・ド・パンティエーブルは、白くて上品な顔立ちを、苦悩で歪ませると夫にそう言った。
先のパンティエーブル伯、ギィ・ド・ブルターニュの唯一の子供であり、生まれながらにして、マイエンヌ・アヴォクール等の領主でもあった彼女は、胸の谷間は少し見えるものの、上品なドレスを身に纏っていた。
「ブルターニュ公として、ブルターニュの兵や住民まで虐殺する必要があったのですか?」
「お前まで何を言ってるんだ! あやつらは、放っておけば、モンフォールの側につくだろうが!」
ブロワはそう言うと、机の上にあった酒をぐいと飲みほした。
家族と共に夕食などで飲む赤ワインなどではなく、強いブランデーだった。
ブレストとヴァンヌの連絡を断つ為に、カンベールという都市を包囲したのである。
位置的には、どの都市も海岸沿いにあるが、一番イングランドに近いのがブレスト、次にカンベールで、その後、大都市ヴァンヌ、少し内陸にあるナントと続いていた。
どの都市も海洋性気候で、温暖で雨の多い冬に、涼しくて湿気の多い夏が特徴であった。
又、そのせいで、一年中湿度が高く、ぬかるみも多い土地でもあった。
時々その名が出てくるブレストもそういう都市であったが、三世紀~四世紀にかけてローマ人が城壁を築き、中世にブルターニュ公国領になっていた。
後に、フランス最大の軍港となり、カナダやインドへの移民の基地ともなるのだが、それはもっと後のことである。
──話をシャルル・ド・ブロワのことに戻そう。
彼は、二ヶ月後の一三四四年五月に包囲していたカンベールを陥落させるのだが、その時、怒りが爆発したのか、一四〇〇~二〇〇〇人の住民を虐殺している。
そして、守備兵のうち、イングランド兵は身代金の為に捕虜とされたが、ブルターニュとノルマンディーの兵はパリに送られ、反逆者として処刑されたのだった。
「あなた、いくら何でも、やりすぎなのではありませんか?」
ジャンヌ・ド・パンティエーブルは、白くて上品な顔立ちを、苦悩で歪ませると夫にそう言った。
先のパンティエーブル伯、ギィ・ド・ブルターニュの唯一の子供であり、生まれながらにして、マイエンヌ・アヴォクール等の領主でもあった彼女は、胸の谷間は少し見えるものの、上品なドレスを身に纏っていた。
「ブルターニュ公として、ブルターニュの兵や住民まで虐殺する必要があったのですか?」
「お前まで何を言ってるんだ! あやつらは、放っておけば、モンフォールの側につくだろうが!」
ブロワはそう言うと、机の上にあった酒をぐいと飲みほした。
家族と共に夕食などで飲む赤ワインなどではなく、強いブランデーだった。